代表取締役副社長 鷺池利明
デザイナー 山田佳一朗
「イストク」プロジェクトがスタートして5年、poodleのラインナップも増える中で迎える2016年11月のIFFTでは新シリーズの発表を予定しています。今回は職人インタビュー特別編ということで、代表の鷺池博行氏、副社長の鷺池利明氏、デザイナーの山田佳一朗氏にプロジェクトのスタートからこれまでを振り返るとともに、これからの展望をお話していただきました。(聞き手・文/横田茂)
ーーオリジナルブランドの構想は、いつどんな形で始まったんでしょうか。
鷺池博行:イストクは1960年に一人の張り職人からスタートして、2008年に私へ代替わりした頃には特注家具とOEMを自社内で完成できるような体制が出来上がっており、仕事に対する一定のご評価もいただいていましたが、家具作りのプロとして心から納得できる家具を自分たちの手で作りたいという思いが原点です。
ーーものづくりを志した職人集団として創造力を試したい、と。
鷺池博行:特注家具では技術的に最善を尽すことであらゆる要望に対応できるようになりましたが、視点を変えると「何でもできる=会社としての特徴がない」とも言えるのではないかと危惧していました。
そこで、私たちを表現するにはやはりオリジナルブランドではないだろうかと考えました。10年前位から少しずつそういう思いが生まれていました。
ーーすぐにプロジェクトはスタートしたのでしょうか。
鷺池博行:いいえ、構想はずっとあったのですが、日々の仕事に追われてできずじまいでした。きっかけは2008年9月のリーマンショックと2011年3月の大震災です。ピタッと仕事が止まってしまい、私も東京に行くことがめっきり減って新しいことに挑戦する時間ができたことが大きかった。
山田:2011年のIFFTで再会した後に徳島を訪ねてからが本格スタートです。
ーーなぜ山田さんをデザイナーに迎えられたのでしょうか。
鷺池博行:2005年頃の雑誌「商店建築」に山田さんがデザインされたイスが掲載されていたのをずっと覚えていたんです。
山田:その後、青山の家具メーカーで偶然にご一緒したことはあったのですが、、、
鷺池博行:山田さんがデザインされて、当社に製作依頼のあった「ブランチ」というイスに「機能する美しさ」を感じていました。私が考えるデザインそのものを表現したイスだったのです(写真)。様々なご縁が重なって、2012年2月に山田さんに工場に来ていただいてからプロジェクトがスタートしました。
ーープロジェクトはどのように進んだのでしょうか。
山田:まず椅子徳で何ができるのかを理解することから始めました。椅子徳の皆さんは自分たちが得意な分野は理解していても、それが果たして魅力的なのか、自信を持てないでいました。しかし、工場を拝見し、職人さんにもお話をお聞きしたところ、「木製家具の技術は揃っている。しかもきちんと仕上げられる技術力の高い職人が多い」ことが分かりました。それはブランド力の高い専門店を揃えた「百貨店」のような印象でした。
ーーそれからはスムーズに?
山田:いえ、加工技術はあっても、オリジナルの商品開発を進める仕組みはなかったので、図面を渡したら試作ができてくる、というわけではありませんでした。みなさん、自分の専門分野では素晴らしい出来のパーツ試作を作るなど力を発揮してくれるのですが、全体を話し合う場では発言が少なかったり、スケジュール調整が機能しなかったりと、進捗が止まることがしばしばでした。
イストクでは私たちと一緒に家具を作る職人を募集しています。
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