未経験
森 智暁(徳島県出身)

「本物を自分の手で」― 月間200万PVのメディア運営者が、木工職人に飛び込んだ理由

1日200万PVという膨大なトラフィックを記録したニュースメディア。それを2人で立ち上げ、運営していた森が選んだ次の舞台は、木を削り、家具をかたちにする職人の世界でした。未経験からイストクの門を叩き、入社半年。現在は組み立て工程を担当する森に、転身の理由と現場でのリアルな日々を聞きました。

「薄めたスープ」のような世界に、違和感があった

スマホが登場する以前からマンガやゲーム、インターネットに親しんできたという森。前職ではメディア運営で大きな実績を残しましたが、コロナ禍をきっかけに同業への参入者が急増し、事業をたたむ決断をしたといいます。

「今のインターネットは、まるで『薄めたスープ』のようになってしまっていると感じていました。正しい情報や熱量のある言葉が埋もれてしまっている。他人の成果やコンテンツを見続けるだけの、虚像のような世界にはもう戻りたくないと思ったんです」

AIの活用にも積極的に取り組んでいましたが、だからこそ見えてきたものもあったといいます。「自分の手で本物を生み出す側に回りたいという気持ちが強くなりました。効率を競うのではなく、人の思いが反映されたものづくりがしたかったんです」

未経験の職人という道を、選んだ理由

徳島の家具工場で、組み上がった木製椅子の接合部や仕上がりを入念にチェックする若手家具職人。丁寧な品質管理と無垢家具づくりのリアルな現場風景。地元・徳島で家具メーカーを調べる中で目に留まったのが、イストクの「HARP」でした。職人紹介や工場の様子が伝わってくるウェブサイト、取引先のYoutubeチャンネルにある社長のインタビュー動画。実際に見学に訪れた際の、資材に囲まれた工場の空気にものづくりの現場のリアリティを感じたといいます。

未経験からの大きな挑戦でしたが、家族もそのチャレンジを後押ししてくれたそうです。
「職人の世界は、技術のない人間はもっと雑に扱われる厳しい場所かと身構えていましたが、実際に入ってみると、先輩方は本当に優しく迎え入れてくれました」

入社1ヶ月、最初にぶつかった壁

イストクの木製チェアをひっくり返し、脚部を手作業で丁寧に研磨・仕上げ加工する職人の姿。未経験から技術を磨く木工職人。デジタルからフィジカルへの転換について、森自身は「スムースだった」と振り返ります。最初は研磨の練習でしたが、忙しい時期も重なり、早々に組み立て工程の実践へと移りました。

「入社して1ヶ月ほどで、HARPの笠木の研磨を任されました。ベルトサンダーで削るのですが、力加減が分からず、デコボコになってしまって。それでも先輩たちが修正しながら教えてくれました」

チェアのフレーム組み立てと細部調整を行う家具職人の作業風景。職人の手仕事と誠実なものづくりを伝える写真。寡黙で仕事熱心な職人たちの中で、「あまりにも喋らなさすぎる」と感じることもありましたが、その中でベテランの島村が最もよく話しかけてくれたそうです。
自分自身が工場の雰囲気を変える潤滑油になりたいと、主体的に話しかけるうち、休憩所は今では賑やかになったといいます。前職の経験を活かし、現在はSNSでの発信にも携わっています。

これから職人を目指す人へ

「未経験だからといって、恐れる必要はないと思います。学歴がなくても、自分の手を動かして本物を作りたいという気持ちがあれば、挑戦できる環境はあります」と森は話します。
効率よりも、自分の頭で考え、手を動かして何かを生み出したい ― そう感じている人にとって、木工職人という選択肢は、思っているより遠くないのかもしれません。

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