「正直、親切、丁寧、これだけです」と長く愛されるお店の秘訣をこう言い切るのは、橋本家具工芸代表の橋本益廣さん。「お客様との繋がりが強くて、毎年みかんを持って来てくださる方までいるんですよ」と笑わせる隣で息子さんで専務の吉弘さんは「社長のこの人柄が人気なんですよ」とつけ加えます。

家具職人であった益廣さんのお父様の吉太郎さんが創業したのは1949年、木材が搬入される広島県の松永湾に近いこともあり一帯は家具の産地として栄え、2000年前後までは主に婚礼タンスなど箱モノの製造販売が事業の中心でした。
現在でも敷地内には数多くの加工機を揃えた工場があり、オリジナル家具の製造やリメイク、修理に稼働しています。
その後、箱モノから一枚板のテーブルなどに活躍の場を広げつつ、吉弘さんも参加するようになり徐々に現在の形態に進化。吉弘さんは製造、販売のほかに雑貨の仕入れも手がけ、ギャッベなど高価なものから時計やフォトフレームなどの小物までのコーディネートができるのも人気の一端です。

ウェブサイトとSNSの運営も吉弘さんが担当します。
「Instagramはお店を知っていただくきっかけになったようで、広島市内などこれまでの商圏以外から足を運んでいただくようになりました。ホームページを見てしっかりと下調べをして来店される方がほとんどで、みなさんセットではなくイスなら１脚ずつ購入されます。」
「後ろから見たシルエットを気に入られた和食店さんが一枚板のカウンター用に9脚購入されたりと、イストクは家具をよく知っている方に選んでいただいている印象です。」とお話いただいた吉弘さんは、取材の数日後にはアンティーク家具の研修と雑貨の買い付けでデンマークにいらっしゃいました。

冒頭の「正直、親切、丁寧」に加えて「勤勉」が現在まで橋本家具工芸さんが愛される理由だと納得した次第です。売り場は1階だけでなく2階にも広くあり、同店の歴史を伺い知れるようなマニアックなアイテムが随所に配置されているので、宝探しのように幅広いジャンルの家具を楽しんではいかがでしょうか。