





イストクの家具を香港と台湾へ輸出している佐賀県佐賀市諸富町の佐藤木材。
57年に亘り材木を輸入し国内に卸してきた企業は今、日本製の家具を海外へ輸出し、その魅力を伝える役割を果たしている。
なぜ木材の輸入企業が家具の輸出を始め、伸びているのか?
その理由を聞きたく、福岡県大川市で開かれた日本最大の木製家具展「大川家具新春展」に向かう途中、隣町にある佐藤木材へ立ち寄った。
大川の隣町という立地
「ショールームはすべて瀧勝巳先生にお願いしました。自分でやっていたら、木材を並べただけのショールームになっていたと思います。木と異素材が融合した空間になり、本当に良かったです。」と語るのは代表の佐藤さん。2階に上がって目を引くのが大川の前田建具製作所が製作した直径60CMほどある大きな球体の組子。
「全国から設計や施工など建築関係の方々にお越しいただいていますが、ただ木材を選ぶだけでなく、"大川の可能性"という引き出しを持ち帰っていただきたいんです。」そう言われて部屋を見回すと、突板を張り分けた扉や矢羽根張り・市松張りの天井など、空間の中に大川の技術が活きた様々な加工が施されていた。
木材の活用が減っていることへの危機感
1969年の創業当時、佐藤木材は国内で製材された海外材を扱っていたが、35年ほど前から広葉樹を中心に製材品や集成材の直輸入を開始。さらにフローリングなど木質建材の販売も手がけるようになる。しかし、社会や経済の変化に伴い、枠材は化粧シートへ、天井や壁はクロスへと置き換わり、生活空間における木材の利用は徐々に減少していった。
「なんでも木であれば良いとは思いません。ただ木の出番が減りすぎていると感じています。大切なのは、木と他の素材との融合です。」そうした想いもあって一昨年の10月、新たなショールームを作った。「社長は大川を盛り上げたいという想いが強く、大川の魅力を伝えたいという気持ちで始めたのだと思います。」と海外事業部の石橋さんが佐藤さんの想いを代弁する。
木材輸入から木製家具輸出へ
「国内の家具需要が伸び悩む中で、家具販売のお手伝いとして、海外で日本の家具を販売できないかと考えました。販路が広がれば、木材の利用拡大にもつながります。」輸入で培った貿易のノウハウに加え、香港出身の李さんが海外事業担当として入社したことも後押しとなり、約9年前に香港で販路開拓を開始。現地ショップ「ALOT LIVING」での取り扱いがスタートした。
海外店舗と日本の家具メーカーとの橋渡し
「ALOTさんには飛び込みで営業に伺いましたが、パートナーとして良い関係を築くことができました。日本のメーカーは素晴らしい技術を持っているにもかかわらず、その価値に気づかれていないこともあります。だからこそ私たちは実際に工場へ足を運び、職人のこだわりやものづくりの背景を"外国人の視点"で感じ取ることを大切にしています。そのうえで、アピールポイントを見つけ出し、価値を言語化し、海外へ伝えることが我々の役目です。日本メーカーと海外バイヤーにあるギャップを埋める存在になれればと思っています」と李さん。
ALOTの良いところは作り手の想いを尊重し、それを丁寧に伝えてくれること、だと言う。
現地で愛されるブランドとして伝えていくこと、日本の家具メーカーとそれを必要とするお客様をマッチングする仕事だと、話してくれた。
台湾でイストクが受け入れられる理由とは
台湾では無垢の木質感とオリジナルティのある家具が好まれるそうだ。「イストクさんは、曲木やテーブルの吸い付き桟などの技術が、本当に素晴らしいです。語れるストーリーがあるので、弊社のスタッフも伝えやすいです。」と佐藤さん。
2023年大川展にイストクが初出展した際に、佐藤さんと李さんはブースを見てALOT LIVINGに合うと思い、その次の展示会にALOT LIVINGを案内。すぐに気に入っていただけたそうだ。
「売ろうとするとお客様は離れてしまいますが、ALOTさんは"売る"というよりブランドや作り手の想いを伝えることを大切にされています。だからこそ売れているのだと思います。」
その言葉を聞いて、ショールームで大川の魅力を伝え、海外で日本の家具メーカーの魅力を伝えている佐藤木材も同じだと思った。
技術やデザインが良いだけで家具は売れない。繋がる導線にはその魅力を伝えてくれる人たちの存在がある。
※後編は2025年に台湾で取材したALOT LIVINGの記事をお届けする予定です。
Info
株式会社佐藤木材
住所 佐賀県佐賀市諸富町大字徳富266-1
電話番号 0952-47-3855





